(PDF版)

条例等による安易なインターネットやゲーム規制についての反対意見書

令和2年3月17日
コンテンツ文化研究会
エンターテイメント表現の自由の会

昨年5月にWHOが「ゲーム障害」の分類を採択したことが契機となって、日本各地で特に青少年に対するインターネットやコンピューターゲーム(以下、「ゲーム」という)を利用できる時間数や時刻の制限(以下、「時間制限」という)をしようという声が出ている。特に、一部の自治体で条例による時間制限が検討されていることに我々は危惧を覚えており、本年2月には香川と東京で「ゲーム障害」についての勉強会を共同で開催したところである。

もちろんゲームが引き起こす精神保健上の問題には支援や予防など対策を行っていく必要があるが、WHOのICD-11での「ゲーム障害」に関する科学的知見は十分ではない。有病率、遺伝的要因、経過など研究が進んでおらず、有効な治療・予防に関しても判明していないことは日本政府も認めているところである。また、ICD-11の発効が2022年とまだ先であることを考えても条例において具体的な規制を行うことは時期尚早といえる。「インターネット障害」については、ICD-11において触れられてすらいない状況である。

今日において「ゲーム障害」の予防を目的にインターネットやゲームの時間制限をすることが有効であるという科学的な知見は存在しない。具体的な依存症のリスクがあるわけではない青少年についても一律に条例でインターネットやゲームの時間を制限するべきか否かは、子どもの権利保護の観点からも、十分な科学的なエビデンスに基づいて検討されるべきである。ところが、現在、一部の地方自治体で議論されているいわゆる「ネット・ゲーム依存症対策」はその点が十分に考慮・検証されていない。

少子高齢化が進む日本において、IT人材の育成は待ったなしの状況であることは論をまたない。また、インターネットやゲームは負の側面が強調されがちであるが、良い側面も大いにあることを忘れてはならない。近い将来、社会の中で活躍する青少年に行うべき施策は、インターネットやゲームとの付き合い方や活用方法についての教育であり、決して安易にゲームやインターネットの時間制限をすることでないことは明らかである。

以上を踏まえ、我々、コンテンツ文化研究会、エンターテイメント表現の自由の会は、条例等によるインターネットやゲームの一律の時間規制を検討する全ての自治体に対し、下記三点を要望として強く申し上げる。

一、インターネットやゲーム依存の予防的観点からの政策は科学的根拠に基づき行うこと

一、インターネットやゲームの利用のあり方については可能な限り家庭の自主性に委ね、子どもの意見を尊重すること

一、青少年に対して、インターネットやゲームとの前向きな付き合い方についての教育を推進すること

以上


20200317 誤字修正